E-roomへようこそ。このブログでは、学校現場における小論文指導の現実について、学校の先生を対象にゆるーく語っていきます。バックナンバーと合わせてお楽しみください。
高校生に小論文を書かせるのって大変ですよね。参考書どおりに書ける生徒ってそんなに多くないですからね。ふつうの高校生にどんな指導をするのがもっとも適切なのか。
ゆるーく考えていきたいと思います。
そもそも高校生に小論文は書けるのか
前回の投稿でもお話ししましたが、高校生が持ちうる説得力ってかなり限られていると思っています。説得力だけじゃないですね。そもそも書く内容とかどんなレベルのことを書くかなどについても、かなり限定的になってきます。
なぜ限定的になるかと言えば、やっぱり手持ちの駒が少ないからでしょう。これまでそんなにたくさんの経験をしてきたわけじゃなし、知識の量だって限られています。高校生はみんなそうです。「容器」のバリエーションが少なく、「容量」もそう多くはない。
でも、これは考えてみれば当たり前のことですよね。だってまだ高校生なんですから。
こういう状況の中で小論文を書くのって、実際きつくないですか?
だって、小論文のテーマっていろんなのがありますよ。志望学部に関連した内容だけカバーするならまだなんとかしようはありますが、そうとは限りませんからね。看護学部でも、環境問題や人権問題や国際問題や教育問題について出題されることもあり得る。
これって、可能なんですかね。
そういう小論文試験に高校生が対応することはできるのだろうか。
この問題については、一度しっかり考えてみる必要がありそうです。
基礎知識は必要?
小論文入試に対応するために必要なものって何でしょうね。
小論文の試験ってどんなテーマが出題されるかわからない。
だから、まずは基礎的な知識が必要、と皆そう思う。
そしていろんなテーマに対応できるように勉強したりする。様々な社会問題について基礎知識を学んだりね。参考書で小論文の書き方をトレーニングしたりもします。
でも、この勉強って本当に役に立っているのだろうか。
ハイレベルの入試小論文にチャレンジするならば、様々な社会問題についての知識と自分なりの見解は当然用意しておかなければなりません。
しかし、そうじゃない多くの生徒たちにとってはどうなんでしょうか。社会問題について学んだとしてもすべての問題を網羅的に勉強できるわけではない。限られた問題について、しかもごく浅く知る程度で終わりです。だから、その知識を使って何か文章を書こうと思っても大したことは書けない。もちろん勉強しないよりはましだけども、この勉強がとても役立っているとは思えない。社会問題についての形だけの勉強をするよりも、しなきゃいけないことがあると思っています。
じゃあ、小論文の書き方を勉強しましょう、とこうなる。
で、本屋さんに行って小論文コーナーから書き方本を適当に見繕ってくる。起承転結とか序論本論結論とかを覚える。段落の書き方や具体例の使い方などを知る。よしわかった、さあ書いてみよう!
こんな感じで書けるようになった人を私は見たことがありません。
もちろんこうした勉強も必要ではあります。でもこういう取り組み方だとおそらく「書き方」は身につかないと思います。内容が伴っていない状態で書き方の練習だけをしても、「こう書けばいいんだ!」という実感にはつながりにくいでしょう。実感がなければ定着するのも難しいと思います。


コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 「自分ストーリー」というのは、文字通り「自分の物語」です。小論文というのは基本的に自己表現です。そこに「自分」が表現されていることがいちばん重要です。じゃあ「自分」とは何か。それは自分の考えであり、自分の思いであり、自分の将来のビジョンであったりします。こうしたことが表現されているような小論文は優れた小論文と言っていいでしょう。小論文のお題は何が出るかわかりません。自分の受ける学科とは直接関係の内容なことが問われることだってあります。それでも、しっかりと設問要求を満たしながら自己を表現する。そうした力が必要なわけです。こう書くとそんな難しいことできない!って思われるかもしれませんが、そんなことはありません。自分の考え方を支えている「土台」さえしっかりと作ることができればどんな生徒にも十分可能なことだと思っています。その「土台」の大本にあるのが「自分ストーリー」です。「自分ストーリー」の作成とは、これまでの自分の歩みを振り返りながら、自分という人間を再構成し、再認識する。そういう作業です。この作業は、絶対に必要な作業です。けれども、高校生が自力でできることではありません。だから、どうしても先生のサポートが必要です。関連記事→初級編③・初級編④・初級編⑤・初級編⑥・初級編⑦・初級編⑧ つぶやき編⑤・つぶやき編⑥ […]