11『大学生の論文執筆法』 石原千秋

 



前回の投稿「先生が読むべき小論文参考書3選」で取り上げた参考書の補足解説です。興味のある方はぜひご一読ください。

目次

大学生の論文執筆法 石原千秋

この本をおススメ図書の一つにあげたのは、「二項対立」の考え方がとてもわかりやすく説明されているからです。

わかりやすく?

ごめんなさい。あまりわかりやすいとは言えないかもしれませんね。
とくに「普通の高校生」には難解な部分が多々あるかもしれません。

特に「第2部」はね。
二項対立の構成になっている評論文を例として複数あげているんですが、そこそこの長さのものを読まなきゃならないのと、内容的にはアカデミックな文章になっているのでね。
決して読みやすくはありません。

大学生に向けて書かれた本ですからね。
これくらいのものは読めなきゃ話にならんぞって言うことなんでしょうけどね。
まあ、がんばって読んでください。

で、これらの論文がすべて「二項対立」の形をとっているということを丁寧に解説してくれています。

こういうことを教えてくれる本ってなかなかないですよね。
「二項対立」っていう言葉自体はたくさん目にしますけどね。

入試現代文なんかで出てくる文章には二項対立になっているものが多いので、けっこうこのタイプの評論文は読んではいるはずなんですけどね。

現代文だとどうしても「読解」して終了って感じになってしまいがちです。
問題文を攻略できたらそこで終わり。
「二項対立」の文章を「読む」ことはできても、「二項対立」を使って「書く」ことはできないんです。

「読む」だけならできるんですよ。
何と何が「二項対立」になっているか。
問題文に書いてあることを読み取ればいいんですから、これはできる。

でも「書く」ことは簡単にはできません。
何と何を「二項対立」にすればいいかってことを自分で考えなきゃいけませんからね。

「二項対立」にする理屈をちゃんと理解して、その上で練習を重ねていかないと書けるようにはならないでしょう。

でも、「どうして二項対立にする必要があるのか」ということにちゃんと答えてくれている本ってそんなにはないんです。
だから、この本はおススメなんですよ。
いろいろと難しいことが書いてあったり、読みにくい部分も多少はありますが、ちゃんと読めば力になります。

もちろん入試小論文に特化した本ではないのでこれだけ読んでも入試に対応できるっていうわけではありません。
しかし、「論文」を書く上での基本が書かれていますので、こういう理屈を知っているというのは大きいです。

先にも書きましたが、高校生にとっては読むのが難しいかもしれませんので、ぜひ先生に読んでもらいたいと思います。

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この記事を書いた人

1968年生まれ
東京学芸大学大学院修了
函館市私立学校に30年勤務
小論文を中心に指導

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