Step6 くっつき文を切り分ける

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高校生の「くっつき文」

まずは練習問題4を振り返ってみましょう。

私は生きていくためには欠かせない「食」について以前から興味を持っており、今までいろいろな料理を作ってきましたが、家族がおいしいねと言ってたくさん食べてくれるのがとても嬉しく、おいしいご飯を作っていろんな人を笑顔にしたいと考えるようになりました。特に、この世の中にはお腹いっぱいご飯を食べられない子供が多くて社会問題になっていると聞き、そういう子供たちを減らしていきたいし、何よりこれ以上増えないようにしていくことが大事だと考えています。

ここには典型的な「くっつき文」がいくつか使われています。

くっつき文?

文法的には「重文」「複文」というのですが、今回はそれを融合した言い方を考えました。

ここで「くっつき文」というのは、文字どおりいくつかの「単文」がくっついて長くなっている文のことだと解釈してください。

前半は
「興味を持っており、」
「作ってきましたが、」
「とても嬉しく、」
のところでくっついて長くなっています。

接続助詞でくっつく

文と文をくっつけるのによく使われるのが
「接続助詞」と「中止法」です。

接続助詞の中でもよく使われるのは、
「〜が、」「〜し、」「〜て、」などですね。

問題文では、
「作ってきましたが、
「減らしていきたいし、
に接続助詞が使われています。

どうしてくっつけちゃいけないんだろう?

くっつけない方がいい理由は二つあります。

⑴文が長くなってしまうから
⑵つながりが曖昧になるから

一つ目の理由はわかります。
文は短く書く!

二つ目の理由がちょっと‥

接続助詞というのはとても便利で、一つで複数の意味を表現することができます。

例えば「が」という接続助詞はこんなふうに使います。

①質問をしたが、まったく答えてくれない。
②カレーもうまいが、カツ丼もうまい。
③さっき彼に会いましたが、彼は岡山県の出身で‥

①は逆接用法ですが、②と③は逆接ではありません。

ホントだ。
同じ「が」なのに、用法が全部違うね。

だから、書く方にとってはとても楽です。
「が」だけでいろんなふうに使えますからね。

しかし、読む方にしてみれば迷惑な話です。

だって、「〜が」と書いていても、先を読まなければ、その「が」がどの用法で使われているのかわからないでしょ。

例えば、「質問をしたが、‥‥」と書いてあったら、そのあとはどんなことが書いてあると予想しますか?

さっきの例文にあったように、逆接っぽい話になるんだろうなって思います。
「期待外れの答えだった!」とか

「が」ときたら、逆接で使われることが多いですからね。

でも、実際はこんな展開かもしれません。
「質問をしたが、その後はみんな帰ったよ。」

なんかフェイントみたいだね。

実際は、こういう前置きだったり、次の話につなげる程度で「が」を使ったりすることがとても多いんです。

例えば「先日、沖縄に旅行に行ったのですが、」と言われたら、一瞬、台風にでもぶつかったのかなと思ってしまいますよね。

「先日、沖縄に旅行に行ったのですが、いい天気に恵まれましてね‥」
こういうくっつき文は、文法的には間違っていないものの、前後のつながりが曖昧で非常に読みにくい。

じゃあどうすればいいの?

簡単です。
くっつけなければいい。

逆接の場合ならそこでいったん文を終止します。
そして次の文の頭に「しかし」という接続語をつける。
そうすれば逆接だということが、一目ですぐに分かります。

「質問をした。しかし、彼は答えなかった。」

なるほど、こうすれば逆接以外は考えられないね。

じゃあ逆接じゃない時は?

文を区切ればいいだけです。

「が」でつなげるから、読み手はいろんな可能性を予想しなきゃいけなくなる。

「質問をした。その後みんな帰りました。」と書けば、余計に読み手を迷わせることはありません。
「先日、沖縄に旅行に行きました。とてもいい天気に恵まれました。」

接続助詞で文をつなげてしまうのは、ほとんどクセのようなものです。

いつの間にかそういう言い回しに慣れてしまって、それが当たり前のようになっているのでしょう。

こういうのが「ふだん使いの言葉」の弊害です。

中止法でくっつく

ついでに「中止法」も簡単に説明しておきます。

中止法‥
なんか難しそう

これは、文を終わらせずに、次につなげていく用法のことです。

「雨が降り、風が吹いた。」

このように「降る。」で文を終止させず、連用形にして文をつなげていくのが中止法です。

問題文では次のところに中止法が使われていました。
「興味を持っており、
「とても嬉しく、
「なっていると聞き、

中止法も文が長くなりそうですね

中止法を使わない方がいい理由は、接続助詞の場合とほぼ同じです。

その先の展開が予想しにくいので、読み手にとってはストレスの溜まる文章になります。

それでは練習問題をやってみましょう。

くっつき文を切り離す練習です。

Step6のまとめ

①「くっつき文」とは、複数の単文がくっついて長くなった文

②「くっつき文」がダメな理由
 ⑴文が長くなる
 ⑵つながりが曖昧になる

③接続助詞でくっつくことが多い
 「が」「て」「し」などが多い

④中止法でくっつくことが多い
 動詞・形容詞・形容動詞の連用形

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この記事を書いた人

1968年生まれ
東京学芸大学大学院修了
函館市私立学校に30年勤務
小論文を中心に指導

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