小論文エッセイの第5回です。今回はどの大学を受験するかによって指導法が変わるという話です。
大学によってずいぶん違うけど
とういうことで、「受験小論文」ってめちゃくちゃ難しいんですよ。
書く方はもちろん、指導する方も。
ただし、受ける学校によりますけどね。
ちょっと横道にそれます。
入試科目に小論文を課すといっても、大学によって様々ですからね。
生徒に小論文を書かせて、それでその生徒の論理性や発想力ややる気みたいなものを査定するといったまっとうな意図をもって小論文入試を導入している大学。
これって全国にけっこうありますよね。
こういう大学ってやっぱり難関大学に多い。
こういうのをAランク大学と名づけておきます。
それと対極にあるのがCランク大学。
これは「とりあえず小論文でも書かしとけ」的な感じで小論文入試を導入しているところ。
もちろんそんなことはっきり言ってはいませんよ。
でも、実質的にそうなってるんだろうなという感じですよね。
入学者の確保が厳しいところなんかはどうしてもそうなるんじゃないですかね。
あとは、受験制度の変更でやむなく小論文を導入したケース。
2,3年前の入試大改革で決まったじゃないですか。推薦入試でも学力試験やれって。
学力試験がなくて楽に合格できそうだからそこの推薦入試受けてたんですよ。だって調査書と面接だけでよかったんですから。大学側にしたって、そういう受験生を集めてかろうじて入学者を確保できてたわけですよ。それなのに学力試験をやれって、ちょっと酷じゃないですか。筆記試験なんかやって点数取れなかったりしたらどうするんですか。そんなリスキーなことできませんよ。そんな危なっかしいことをするより小論文の方がいいに決まってますからね。少なくとも経営陣はそう考えるんじゃないかなと思います。
もちろんこれもハッキリは言わないけどね。
こういうことですから、一口に小論文入試と言ったって、AランクとCランクではまるでその性質は違ってくるわけです。
前者は小論文のクオリティが重視されるけど、後者はそうでもない。
だからCランク大学の場合は、正直あまり踏み込んだ指導はしません。
教育者としては若干心が痛みますけどね。
どんな生徒に対しても、文章力をつけさせようという姿勢が教育者には求められるでしょうから。
でも、実際はそういうことやってる時間がないんですよね。
その子の成績とその子の大体の能力と受験する大学とを総合したらたぶん合格できるでしょうと、そう判断できる場合はあまり面倒なことは教えずに、褒めておだてて自信を持たせて受験に送り出します。申し訳ないけど。
ということで、「受験小論文」が難しいと言っても、全部が難しいわけじゃないんですね。
やっぱり難しいのはAランクの大学です。
こうした大学の受験指導をするのは確かに難しいし大変なことも多いんだけど、でも、こういうところを受ける生徒ってそれなりの力を持っているんですよね。だから指導自体は意外と楽なんです。こっちの言ってることをわかってくれるので。もちろん合格を勝ち取るのは簡単ではないですけど。
小論指導に苦労する大学は
ほんとうに難しいのは「Bランク」大学のケースです。
このランクの大学は、ちゃんと小論文入試をやっています。
小論文でそれなりの能力を計ろうとしている。
だから入試問題自体はけっこう難しい。
それはまあいんだけど、問題なのは生徒さんのレベルなんですよ。
そういう入試に対応できるような「基礎体力」がないんです。
模試の成績が悪いというわけでもないんです。もちろんパッとしてもいないんですが、問題はそういうところじゃない。
こういうランクの生徒って、進路意識があまり高くないことが多いんですよね。
なんでその大学に行きたいとか、その学部でどんな勉強をしたいとか、将来はどんな仕事に就きたいとか、その辺の考えがぼんやりしているんです。
いいんですよ。ぼんやりしていたって。大学に入ってから考えればいい。そういう感じの人はたくさんいますしね。とくに文系なんかはそうじゃないですか。まあそれでもいい。
でもそういう人は推薦入試には向いていない。
一般受験でいくべきです。
それなのに、意外と多いんですよ。大した考えもないのに推薦入試を受けたがる人。
Cランクの大学を受験してくれればいいんですけどね。そういう人は。
でも、そんなのに限ってそこそこいい大学を狙ったりするんです。
で、絶対に無理というほど見込みがないわけでもない。
こういう生徒にそれなりの小論文を書かせるっていうのがいちばん難しい。
偏差値80あっても東大に合格させるのは難しいけど、偏差値40の生徒を国公立大に入れるのも難しいでしょう。それみたいなもんです。難しさの質は違うけど、後者の方が厄介なことが多いですよね。
というわけで、小論文を実施する大学を3つのカテゴリーに分けてみました。
とは言ってもこうした分類にうまくあてはまらないケースも多々あります。
その大学のスタンスみたいなのをうまく見極めながらやっていくしかないですよね。
まあ、少なくとも個々の生徒の状況をよく考えた上で判断した方がいいですよね。
無理なくできる現実的な指導をね。
生徒にとっても先生にとっても。


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